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大気圧合成

◇ セラミックス硬質薄膜の切削工具への応用

 切削工具にはその切削性能や工具寿命を向上させるため、表面に薄膜が被覆される。鈴木研究室では、主に非金属の窒化物の薄膜について研究している。代表的な薄膜にTiAlNがある。TiAlNは切削工具用の薄膜として工業的に広く使われているが、近年社会から求められる切削加工の幅は広がっており、より過酷な切削加工に対応できるようにするため、硬度,耐酸化性を向上させる必要がある。当研究室では、元素添加や膜設計によって特性を高めるアプローチがとられてきた。最近は、異なる複数の薄膜を交互に積み重ねる積層化が注目されている。高硬度のTiAlYNと高密着性のTiAlNを積層化させることで、高い硬度、密着性をもつ薄膜を作製できることが明らかになった。TiAlYN / TiAlN積層薄膜はTiAlNに代わる新たな薄膜として実用化が期待される。今後は、元素組成や膜設計を変化させ、さらに優れた物性を有する薄膜の開発を目指していく。

◇ アディティブマニュファクチャリング(AM)により作製したインコネル625に関する研究

指向性エネルギー堆積法

 インコネル625とはNiにCrやMo、Nbなどを固溶させることで強化した超耐熱合金である。インコネル625は耐熱性や耐クリープ性、耐腐食性のほか、曲げ強さや疲労強度などの機械特性にも優れるため、航空宇宙産業や原子力産業などで用いられている。しかし、厳しい使用環境に耐えられる反面、切削による加工が困難であるという問題点がある。そこで,直接任意の形状の造形ができるアディティブマニュファクチャリング(AM)が注目されている。AMは3Dプリンタとして広く知られているが、当研究室ではAMの中でも指向性エネルギー堆積法を扱っている。この方法ではレーザー光などの熱エネルギー源を照射した位置に材料を溶かし込むことで積層造形する。特徴としてはAMの中では加工速度が速いこと、既存のマシニングセンタと組み合わせ同一の機械に組み込みやすいこと、冷却機構の導入や異種材料の混合など応用の仕方が豊富であることなどがあげられる。一方、形状制度が悪いことや強度に異方性が生じることなどの問題点がある。当研究室では硬さや曲げ強さ、引張強さ、疲労強度などに生じる異方性について実験し、金属結晶の成長方向や残像する積層界面などから原因の解明・解消に取り組んでいる。

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